脇の黒ずみは肌トラブル。
病院を受診するなら皮膚科です。
しかし、皮膚科を受診したのに「うちでは・・・」と言われたり、有効な治療を提示してもらえなかったりするケースがあるようです。
勇気を出して受診したのに、そういった対応をされると、恥ずかしいですし、何よりどうしたらいいか途方に暮れ、つらいです。
「肌の悩みなのにどうして?」「皮膚科に相談できないならどこへ行けばいいの?」
と不安になられると思いますが、実は皮膚科にも様々な科があります。
肌には病気ではない悩み・トラブルも多いので分類されているんです。
自分にあった治療が受けられるように、皮膚科について、また治療法などを紹介します。
皮膚科と美容皮膚科の違いとは?
肌に悩みがあれば皮膚科に行くのは間違いありません。
セルフケアで肌悩みが解決しない時も、医師による治療を受けるのも選択肢の一つです。
ただ肌悩みといっても、治療が必要な場合とそうでない場合があります。
例えば、シミ・黒ずみ、シワ、毛穴の開き、たるみなどは、本人にとっては深刻な悩みでも、病気には分類されません。
肌には病気ではない悩み、しかし心身ともに大きな問題になる悩みが多いため、目的、症状に合った治療が行われるように科が分けられています。
◆一般の皮膚科
湿疹や皮膚炎、蕁麻疹、アトピー、水虫など、皮膚の病気・疾患の治療がメイン。
◆美容皮膚科
シミ・黒ずみ、シワ、毛穴、たるみなど、様々な肌の悩み・トラブルに対して、肌の専門医による治療がメイン。
例えば、ニキビの場合。
一般の皮膚科でも治療は行われますが、美容皮膚科では一般的な治療に加え、キレイな肌になることを目的とした治療が行われます。
●一般の皮膚科 → ニキビそのものを治す
●美容皮膚科 → ニキビそのものだけでなく、ニキビがつぶれてできたニキビ跡や色素沈着も治療の対象
クリニックによっては、一般皮膚科と美容皮膚科が併設されているところもあります。
ちなみに、美容整形外科という科もあります。
こちらは美容に関する外科手術を行うところ。二重まぶたの手術や鼻を高くする、あごを削るといった、メスを使った治療が行われます。
一口メモ:美容皮膚科とエステとの違いは?
美容皮膚科は、基本的にメスを使わない範囲で治療していきます。
エステサロンとの違いは、美容皮膚科では、ヒアルロン酸などの注射やレーザー、ケミカルピーリングなどの治療が行えますが、エステサロンは医療機関ではないので、こういった治療を行うことができません。
保険は適用される?
保険に関しては、皮膚疾患、病気であれば保険が適用されます。
しかし、病気ではない黒ずみやシミ、しわ、たるみなどの肌悩み・トラブルは、保険は適用されません。自由診療になります。
自由診療なので、同じ治療であっても各クリニックによって費用が大きく異なります。
脇の黒ずみの診療を受けるなら?
脇の黒ずみは、一般の皮膚科でも診てくれるところはあります。しかしその治療例は少ないようです。
一般の皮膚科の受診を考えられている方は、まずHPで確認し、それでもわからない場合は、電話で直接確認された方がいいと思います。
「脇の黒ずみに悩んでいるのですが、診ていただくことはできますか?」と聞けば教えてくれます。
一般の皮膚科での黒ずみ治療は塗り薬が中心。
また黒ずみは病気・疾患ではないので、保険は適用されません。
初期の黒ずみであれば塗り薬で対応可能かもしれませんが、やはり美容皮膚科で診てもらうほうがいいと思います。
基本的に、脇の黒ずみは美容皮膚科の領域になります。
主な治療法 <脇の黒ずみ>
脇の黒ずみで行われる主な治療方法を紹介します。
塗り薬
脇の黒ずみを改善する成分が入った塗り薬を使って行う治療法。
市販薬や通販などで購入できるものと比べ、治療効果がより高い成分・濃度の塗り薬を使用することができるので、より早く改善することができます。
ハイドロキノン
「肌の漂白剤」とも呼ばれる成分。
黒ずみ、シミの原因であるメラニン色素の産生を抑え、メラニン色素を作るメラノサイトそのものを減少させる力があります。
ハイドロキノン配合の商品が市販されていますが、皮膚科ではより濃度の高いものの使用が可能なため、より早く改善することができます。
【関連記事】ハイドロキノンの美白効果、脇の黒ずみには?
トレチノイン
肌表面の角質をはがし、肌のターンオーバーを促す働きがある成分。
肌代謝を促進する働きがあるビタミンAの約100~300倍の効果があるといわれています。
レーザー治療
特殊な装置で発生させて光を幹部に照射する治療法。
レーザートーニング
レーザートーニングは、「肌にやさしいパワーでシャワーを浴びるようにレーザーを照射し、余計な刺激を加えずに徐々にメラニンを減らしていく治療法」。
治療には輪ゴムで”パチン”とされる程度の痛みが伴いますが、健康な肌細胞に刺激を与えないので、肌に対するダメージがほとんどありません。
【関連記事】
新しい脇の黒ずみ治療法「レーザートーニング」とは?費用や脇の治療回数、副作用は?
カーボンピーリング(レーザーピーリング)
カーボンピーリングは、「薬剤+レーザー」による治療法。
医療用の黒いカーボンを肌に塗り、レーザーを当てることで、レーザーがカーボンの黒い色に反応し、熱エネルギーで古い角質や毛穴の汚れを取り除きます。
【関連記事】カーボンピーリングとは?【脇の黒ずみ治療 美容皮膚科】
ケミカルピーリング
ピーリング剤と呼ばれる酸を皮膚に塗ることによって皮膚の角質をはがし、新しい皮膚の再生を促す治療法。
古い角質や汚れが取れ、毛穴の詰まりが解消されることで毛穴詰まりによる黒ずみが改善・解消されます。
また古い角質や皮脂汚れなどがなくなることで肌のターンオーバーが促され、色素沈着による黒ずみも改善・解消されます。
ピーリング剤は市販されていますが、皮膚科では市販品よりも強い酸を用いることができるため効果が高いです。
薬剤には様々な種類があり、肌の状態を見ながら、酸の種類や濃度などを調整し治療が行われます。
【関連記事】ケミカルピーリングとは?【脇の黒ずみ治療 美容皮膚科】
イオン導入
ビタミンCなどの有効成分を肌に塗り、電極を当てて、皮膚に吸収させる治療法。
ただ肌につけるよりも、20~30倍程度、浸透がよくなります。
脇の黒ずみの治療においては、イオン導入だけで完治させるのは難しく、ケミカルピーリングやハイドロキノンによる治療と併用して行われることがほとんどです。
ピーリングで古い角質を取り除いた後に行うと、さらに吸収率が高まり、効果的です。
【関連記事】イオン導入とは?【脇の黒ずみ治療 美容皮膚科】
内服薬
メラニンの生成を抑える働きを持つ成分「トラネキサム酸」を服用することによって、黒ずみを改善・解消する治療。
ただし、内服薬だけでの改善は難しく、ハイドロキノンやレーザー治療、ケミカルピーリングと併用することがほとんど。併用することで、より早い効果が期待できます。
実際にどのような治療が行われるかは、黒ずみの度合いや肌の状態などによって異なります。
番外編:脱毛治療とは異なりますが、脱毛も脇の黒ずみ改善、予防におすすめです。
医療レーザーや光脱毛で使用される光線は黒いものに反応します。
毛が皮膚に埋もれている埋没毛に光線を当てることで、毛を作る組織を破壊。
しばらく時間がかかりますが、光線で焼かれた毛は自然に抜け落ち、埋没毛は解消されます。
また、脇に黒ずみができる大きな原因はムダ毛の自己処理にあります。
脱毛によって自己処理をしなくてよくなったり、また回数を少なくすることができれば、脇に黒ずみができるリスクを大幅に抑えることができます。
美容皮膚科の選び方
保険診療とは異なり、技術や費用など、クリニックで差がある美容皮膚科を選ぶのは難しいです。
基準となる物差しがあればいいのですが、どうしても有名どころや大手のところを選んでしまいがち。
しかし実際はどうなのでしょうか?
疑問点を見てみたいと思います。
大手なら安心?
大手であっても、実際に治療に当たるのはその中に属している一人の医師です。
新人の医師の技量にもしっかり責任を持って管理、指導しているところもありますが、そうとはいえないところもあります。
またフランチャイズ制度によって、個人で開いたクリニックがチェーンに加盟しているというケースもあります。
単に大手だから安心だろう、安全だろうということはいえません。
実際に治療に当たる医師がどのような先生であるかが大事です。
有名なところは安心?
美容医療でトラブルが起きた時によく言われるのが、「有名なクリニックだから安心だと思った」という言葉です。
広告を出していれば知名度は上がりますし、テレビや雑誌などに出ている医師は、イメージで多くの医師の中でもとりわけ高い技術を持っている先生のように思えます。しかし実際には、確かにそういった先生やしっかりとした技術をもち、責任を持って発言されている先生も多いですが、そうではない先生も中にはいます。
「テレビや雑誌に出ている有名な先生=必ず技術が高い」とは言えません。
またおしゃれで豪華、最新のレーザー治療器を揃えるクリニックは、それだけ費用がかかっています。
そのため、あの手この手で集客しようとしているところも多いです。
「治療実績ナンバーワン!」「一度の治療で抜群の効果!」などの言葉をそのまま受け取るのは危険です。
選ぶ時の注意ポイント
クリニックを選ぶにあたって、まずHPなどで、治療を科学的根拠に基づきしっかり説明しているクリニックを探しましょう。
そして、診察にあたって、費用やリスク、ケアに関してなど、きちんと説明してくれるところを選びましょう。
質問すると怒り出したり、嫌な顔をする先生や、頼んでもいない治療をすすめてくるところはやめた方がいいです。
脇の黒ずみやしわ、たるみなどの肌悩み・トラブルの治療は、病気や疾患と違い、時間的に猶予があります。
しっかり説明を受け、納得できなければ、別のところを探し、本当に安心、納得して治療してもらえるところに通う方が、後々のトラブルが少なく、しっかり治すことができます。
広告や口コミ、言葉だけで選ぶのではなく、本当に安心・納得してしっかりと治療してもらえるところを選びましょう。
まとめ
敏感肌やアトピーなどの方、セルフケアで肌悩みが解決しない方などは、医師の下で行う美容医療も選択肢の一つです。
医師の診断のもと、肌の状態、肌にあった治療が行われ、使われる薬や機器も高度。そのため、改善・解消が早く、安心です。
治療は皮膚科で行われますが、皮膚科にも様々な科があります。
ワンポイント 皮膚科:皮膚の病気、疾患を治すのが目的
美容皮膚科:肌の様々な悩みを解決するのが目的
脇の黒ずみ治療の場合、美容皮膚科の診療領域になります。
しかし脇の黒ずみの治療は、保険診療には当たらず、クリニック選びは慎重に行う必要があります。
受けられる治療や費用などは医療機関によって様々なので、十分に説明を受けたうえで、じっくり検討しましょう。